王子は冒険者になる!
*
「こんな、気味の悪い子が
本当に第二王子とご一緒に勉強なんて・・・」
はぁ、ときれいな顔をゆがめてため息をはくのは義母である
リザマート本家の奥様である。
このころになると、ジョイルはすっかり『表情』をなくしていた。
いつもうつむき加減で、紫の髪は少し目にかかるくらいだ。
「絶対、僕のほうが 優秀だよ。
ね、母様。」
「ずるい!兄様。
僕のほうが、上手に『感知』もできるし。」
二人の義兄がお互いに言い合う。
「仕方あるまい。第二王子は「光の王子」という異名を持つほど、
光の魔力が強い。こいつだけが「光の反射」を持っているからな。」
当主である義父は苦々しく ジョイルを睨みつける。
「光の魔力」の素質を持つ子は少ない。そこに目を付けられたのだろう。
同じ性質を 使えるほうが 魔力的に相性がいいからだろう。
「・・・申し訳ありません。義父様。」
頭を下げるジョイルが癇に障ったのか
手元にあった グラスをジョイルに投げつける。
パリンッ とグラスが落ちて割れる。
中に入っていた果実水はジョイルにバシャリとかかっている。
「ち。ほら 拾えよ。汚すなよ。クズが」
ジョイルはあわてて割れたグラスを拾い始める
と、ぐいっと、急に手のひらを 義兄にぐいっと踏まれる。
「っ。」
手のひらに ざくり とした嫌な感覚。
義兄は靴の下のジョイルの 手の下から赤い血が流れるのを見て
眉間にしわを寄せた。
「兄さん、こいつ、また汚したよ。」
「あら、やだ、
血がついているじゃない。もう、ほんと嫌な子ね。
もう 下がりなさい。」
義母の一言で
後ろに控えていたメイドがささっと出てきて汚れた
床を片付け始める。
ちらり、とジョイルを見るが 話しかけはしない。
ジョイルは「申し訳ありません」といって
切れた手を隠しながら下がるのだった。
ジョイルのもつ「光の反射」は魔法をはじくことしかできない。
物理的な攻撃に対する防御は
ただの子供と一緒だ。
涙を落とすと 蹴り飛ばされるのを理解しているジョイルは
ぐっとこらえて 部屋へと戻るのだった。
ジョイルとフランチェスコ王子が出会う少し前の話である。
*
その日 は 特別晴れているわけでもなく
過ごしやすい陽気というわけでもなく
なんてことない、「普通の日」だった。
「フランチェスコ王子。こちらがジョイル=リザマート。
本日から座学を一緒に学びます。」
「・・・・よろしくお願いします。」
さすがに緊張しているジョイルは、ふかぶか、と頭を下げる。
騎士から案内された 大きな机のある部屋に
ちょこんと座っていた少年。
彼が振り向いて、にこり、と笑った。
輝くような黄色のような銀色のような髪がさらりとなびいて
きらきら、と 魔力が舞う。
目を奪われる。
これが光の王子か。
一瞬にして 世界が輝く。
王族の『魅力』に初めて対峙した少年ジョイル。
初めての体験にジョイルは 思わずオートで「魔眼」を発動させてしまった。
「うん。わかった。」
そう、一言だけ言った 王子。
ちらり、と流し目で ジョイルを見るがどことなく
遠くを見ているような あまり感情の乗っていないような『興味のない』ような瞳でったが
ジョイルの瞳は フランチェスコ王子の『違和感』を確実にとらえていた。
フランチェスコ=****=るあーにる(8)((24))
王族 第二**王子 予定**の場合***になる
光の愛子(未混合 精神不安定)
魔力の**の**過剰
*の保護**(待機中)
*の**癒し(待機中)
火の鉄**壁(待機中)
な、なんだ?!!
ジョイルは混乱した。
ジョイルの能力は
名前(年齢)
大体のスキル
というのが見える。
あとは、その人の持つ、オーラというか魔力が
見えるというものだ。
もちろん、王子にまとっているのは黄色のような光沢のある魔力だ。
こんな・・・魔力ステータスを見たのは
初めてだ。8歳・・・だよなぁ?隣の24はなんだろう。
待機中?ってなんだ?・・・王族だからかなぁ?
加護が付いているのか?いないのか?
読めないところが多すぎる。
いつもならば、理解できない言葉はあっても、まったく読めない記号のような
塗りつぶされるということはない。
「あ、の。よろしくお願いします。」
もう一度言って 頭を下げた。
近くにいたら、この不思議な『魔力』がわかるかもしれない。
ジョイルは、恐る恐る。静かに隣に用意された椅子に腰かけた。
「こんな、気味の悪い子が
本当に第二王子とご一緒に勉強なんて・・・」
はぁ、ときれいな顔をゆがめてため息をはくのは義母である
リザマート本家の奥様である。
このころになると、ジョイルはすっかり『表情』をなくしていた。
いつもうつむき加減で、紫の髪は少し目にかかるくらいだ。
「絶対、僕のほうが 優秀だよ。
ね、母様。」
「ずるい!兄様。
僕のほうが、上手に『感知』もできるし。」
二人の義兄がお互いに言い合う。
「仕方あるまい。第二王子は「光の王子」という異名を持つほど、
光の魔力が強い。こいつだけが「光の反射」を持っているからな。」
当主である義父は苦々しく ジョイルを睨みつける。
「光の魔力」の素質を持つ子は少ない。そこに目を付けられたのだろう。
同じ性質を 使えるほうが 魔力的に相性がいいからだろう。
「・・・申し訳ありません。義父様。」
頭を下げるジョイルが癇に障ったのか
手元にあった グラスをジョイルに投げつける。
パリンッ とグラスが落ちて割れる。
中に入っていた果実水はジョイルにバシャリとかかっている。
「ち。ほら 拾えよ。汚すなよ。クズが」
ジョイルはあわてて割れたグラスを拾い始める
と、ぐいっと、急に手のひらを 義兄にぐいっと踏まれる。
「っ。」
手のひらに ざくり とした嫌な感覚。
義兄は靴の下のジョイルの 手の下から赤い血が流れるのを見て
眉間にしわを寄せた。
「兄さん、こいつ、また汚したよ。」
「あら、やだ、
血がついているじゃない。もう、ほんと嫌な子ね。
もう 下がりなさい。」
義母の一言で
後ろに控えていたメイドがささっと出てきて汚れた
床を片付け始める。
ちらり、とジョイルを見るが 話しかけはしない。
ジョイルは「申し訳ありません」といって
切れた手を隠しながら下がるのだった。
ジョイルのもつ「光の反射」は魔法をはじくことしかできない。
物理的な攻撃に対する防御は
ただの子供と一緒だ。
涙を落とすと 蹴り飛ばされるのを理解しているジョイルは
ぐっとこらえて 部屋へと戻るのだった。
ジョイルとフランチェスコ王子が出会う少し前の話である。
*
その日 は 特別晴れているわけでもなく
過ごしやすい陽気というわけでもなく
なんてことない、「普通の日」だった。
「フランチェスコ王子。こちらがジョイル=リザマート。
本日から座学を一緒に学びます。」
「・・・・よろしくお願いします。」
さすがに緊張しているジョイルは、ふかぶか、と頭を下げる。
騎士から案内された 大きな机のある部屋に
ちょこんと座っていた少年。
彼が振り向いて、にこり、と笑った。
輝くような黄色のような銀色のような髪がさらりとなびいて
きらきら、と 魔力が舞う。
目を奪われる。
これが光の王子か。
一瞬にして 世界が輝く。
王族の『魅力』に初めて対峙した少年ジョイル。
初めての体験にジョイルは 思わずオートで「魔眼」を発動させてしまった。
「うん。わかった。」
そう、一言だけ言った 王子。
ちらり、と流し目で ジョイルを見るがどことなく
遠くを見ているような あまり感情の乗っていないような『興味のない』ような瞳でったが
ジョイルの瞳は フランチェスコ王子の『違和感』を確実にとらえていた。
フランチェスコ=****=るあーにる(8)((24))
王族 第二**王子 予定**の場合***になる
光の愛子(未混合 精神不安定)
魔力の**の**過剰
*の保護**(待機中)
*の**癒し(待機中)
火の鉄**壁(待機中)
な、なんだ?!!
ジョイルは混乱した。
ジョイルの能力は
名前(年齢)
大体のスキル
というのが見える。
あとは、その人の持つ、オーラというか魔力が
見えるというものだ。
もちろん、王子にまとっているのは黄色のような光沢のある魔力だ。
こんな・・・魔力ステータスを見たのは
初めてだ。8歳・・・だよなぁ?隣の24はなんだろう。
待機中?ってなんだ?・・・王族だからかなぁ?
加護が付いているのか?いないのか?
読めないところが多すぎる。
いつもならば、理解できない言葉はあっても、まったく読めない記号のような
塗りつぶされるということはない。
「あ、の。よろしくお願いします。」
もう一度言って 頭を下げた。
近くにいたら、この不思議な『魔力』がわかるかもしれない。
ジョイルは、恐る恐る。静かに隣に用意された椅子に腰かけた。