王子は冒険者になる!
「これで、いいけど。
なにか、聞かれたくない話?」
「えぇ・・・てか、
面倒だから、普通にしゃべるな。」
急に態度が変わった 俺に 兄のアレクはびくっと驚いた。
よかった。
言っておきたかったんだよなぁ。
「アレク兄様。
俺、『王』なる気は ないから。
ってか、冒険者とかになりたいんだよな。」
「・・・は??
何言って。」
「ほら、だから・・冒険者」
「そこじゃなくて!!
お前は 第二王子だろ。なんで、王になる気はないとか・・・
王族としての誇りとして・・」
「はぁ。だーかーら。
俺、アレク兄様好きだから「後継者争い」とかしたくないし。
この世界を見てみたいんだ!
だから、冒険者になる。」
「・・・はぁ。フランチェスコ。」
ぽん、と肩に手を置かれて
やれやれ、というようにため息をつかれた。
「僕は、「黒もち」なんだよ。
僕が何かあったときは お前が次の王だ。
その自覚はしておけよ?勉学も怠るな。」
「・・・黒もち・・」
「あぁ。フランはそこまでまだ勉強してないかな。
この、僕の魔力の「黒」は基本、忌み嫌われるだろう?」
「は?!」
そ、そうなの?なんで?かっこいいのに??
「黒は 闇を使い 夜を収める。
力を吸収し、人外を従える。だから不吉――」
「はぁぁあ?何それ。
かっこいいじゃん。持ったいねぇ。
俺だって召喚とかやりたいのに。ってか、力を吸収もできるのか?」
「・・・いや、僕はできないけど
一般的には、僕の力は嫌われてるぞ?」
初めて知った!マジか。
「そーなのかー?
闇がなければ、夜寝れないのにな!」
変なの。
光があれば、闇もあるって普通だろ。