王子は冒険者になる!
**
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セリィの父である
モンレ公爵は、この国の宰相である。
寡黙で、多少強面であるが
迅速な書類処理能力と、指示の的確さで
派手な活躍こそは無いものの、王の右腕として信用の厚い男だ。
魔力も高く、攻撃魔法こそ不得手だが、
迅速な雑務の処理能力や
人事の采配に長けており、
王家との遠縁にあたるが身分だけではなく、実力者としての地位も評判も高い男だ。
その男が、たった10歳の
第二王子のフランチェスコに憤怒していた。
彼は、いわゆる『親ばか』だ。
男だけ3兄弟だった子供の中に、
少し離れた娘。それがセリィローズ。
第二王子のフランチェスコの、許嫁だ。
愛らしい容姿も相まって、
彼女は両親、兄からも溺愛されてそっだった。
ただ、我がままというわけではなく
純粋培養で、素直で心優しい天使である。と父であるモンレ公爵は本気で思っているのだ。
*
「・・・私の天使はまだ部屋の中なのか?」
「…はい。旦那様。」
ふぅ。ため息をつく。
月に一度の『面会』の日から
私のかわいい天使であるセリィが、部屋で臥せっているらしい。
あんの、バカ王子が
ひどいことを言ったに違いない。
くそう。
うちのかわいいセリィがどうしても、どうしても
彼の婚約者になりたいの!って言ったから
仕方なく、婚約者にしたのに
泣かす、だなんて・・・言語道断。
一度注意しなければならんな。
なにが「光の王子」だ。
うちのかわいい天使を笑顔にできないようでは
先が思いやられる。
「・・・セリィの様子を見てこよう。」
「…はい。旦那様。」
あの日、初めてセリィが第二王子のフランチェスコと会った日、
微笑むフラン王子の前で
セリィが心を奪われたのがわかった。
見た目しか取り柄がなさそうなフラン王子なんかに
うちのかわいい天使をやれるか!と思ったが
どうしても、どうしても フランチェスコ王子の隣に立ちたいの。
という涙目のセリィに負けた。
セリィが望むなら と 各方面圧力をかけて
半ば無理やりフラン王子の婚約者に押し上げたのは 私だ。
しかし、そのことで苦しんでいるのなら
婚約を破棄してでも・・・
コンコン。
軽くノックをして返事を待つ。
中から侍女が扉を開ける。
「セリィ?」
ピンクと黄色を基調とした部屋の奥。
ベッドにうつぶせになるようにセリィはいた。
「お、お父様。」
無理やりの笑顔が 余計に痛々しい。
「セリィ。」
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セリィの父である
モンレ公爵は、この国の宰相である。
寡黙で、多少強面であるが
迅速な書類処理能力と、指示の的確さで
派手な活躍こそは無いものの、王の右腕として信用の厚い男だ。
魔力も高く、攻撃魔法こそ不得手だが、
迅速な雑務の処理能力や
人事の采配に長けており、
王家との遠縁にあたるが身分だけではなく、実力者としての地位も評判も高い男だ。
その男が、たった10歳の
第二王子のフランチェスコに憤怒していた。
彼は、いわゆる『親ばか』だ。
男だけ3兄弟だった子供の中に、
少し離れた娘。それがセリィローズ。
第二王子のフランチェスコの、許嫁だ。
愛らしい容姿も相まって、
彼女は両親、兄からも溺愛されてそっだった。
ただ、我がままというわけではなく
純粋培養で、素直で心優しい天使である。と父であるモンレ公爵は本気で思っているのだ。
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「・・・私の天使はまだ部屋の中なのか?」
「…はい。旦那様。」
ふぅ。ため息をつく。
月に一度の『面会』の日から
私のかわいい天使であるセリィが、部屋で臥せっているらしい。
あんの、バカ王子が
ひどいことを言ったに違いない。
くそう。
うちのかわいいセリィがどうしても、どうしても
彼の婚約者になりたいの!って言ったから
仕方なく、婚約者にしたのに
泣かす、だなんて・・・言語道断。
一度注意しなければならんな。
なにが「光の王子」だ。
うちのかわいい天使を笑顔にできないようでは
先が思いやられる。
「・・・セリィの様子を見てこよう。」
「…はい。旦那様。」
あの日、初めてセリィが第二王子のフランチェスコと会った日、
微笑むフラン王子の前で
セリィが心を奪われたのがわかった。
見た目しか取り柄がなさそうなフラン王子なんかに
うちのかわいい天使をやれるか!と思ったが
どうしても、どうしても フランチェスコ王子の隣に立ちたいの。
という涙目のセリィに負けた。
セリィが望むなら と 各方面圧力をかけて
半ば無理やりフラン王子の婚約者に押し上げたのは 私だ。
しかし、そのことで苦しんでいるのなら
婚約を破棄してでも・・・
コンコン。
軽くノックをして返事を待つ。
中から侍女が扉を開ける。
「セリィ?」
ピンクと黄色を基調とした部屋の奥。
ベッドにうつぶせになるようにセリィはいた。
「お、お父様。」
無理やりの笑顔が 余計に痛々しい。
「セリィ。」