王子は冒険者になる!

父である王には
婚約破棄したいことはそれとなく伝えた。

もちろん、
俺の好みじゃないんだよねぇ。

って、ちゃんと、「俺の」わがままっぽく伝えてみた。

困ったよう「では少し検討します。」
と、父の隣の側近が返事をしてこの話は打ち切られたが
父の耳には入っているから、
これは、様子見だな。って思ってた。

しかし、この話が昨日。

父がモンレ公爵に「婚約破棄」を告げたというのは
考えにくい。

ふむ。
じゃぁ、セリィからかなぁ。
さすがに、あの置いてけぼりは『恋する乙女』も冷めたかな?

「・・・フランチェスコ王子、
 三日前の、娘 セリィローズは、なにか粗相をしましたか?」
「・・・ん?」

セリィがっていうか、俺が一方的に
冷たくしたっていうか・・・。
婚約破棄したいなぁってことを匂わせただけだが…。


「いや。特に、「セリィローズ」が何かしたわけではない。
 まぁ、座れ。」

わざと、愛称のセリィとは呼ばなかった。
これで、分かるかなぁ。
ってか、
おっさん!顔怖いって。
俺、10歳!マジで迫力にビビる。

「いえ、結構です。」

ピリッとした空気感は、モンレ公爵の『魔力』があふれているんだろう。

お、怒ってんなぁ。

「セリィローズは、その日から
 部屋から出てきません。」
「え?そうか・・・」
そうなのか、悪いことしたな・・・
あぁ、でも
嫌われる予定だから、まぁいいのか?

「王子は・・・この婚約に不満でしたか?
 もう少し、セリィに優しく声をかけていただくということは
 できないでしょうか?
 政略結婚といえど、すこしは歩み寄る努力を・・・」

・・・・ん?

強面のモンレ公爵をまじまじと見やる。
驚いた。つまり、『娘がへこんでるから、優しくしろ』ってことだろ?

意外だ!
意外と、子煩悩だ!
思わず、ギャップににやけてしまう。
そーだよなぁ。セリィはあんなに笑顔が素敵だもんな。
そりゃ、親ばかになるわな。

「・・・王子?」
「あ、あぁ。そうだな・・」
すまない、と言いかけて 思いついた。

俺、公爵に嫌われたらいいんじゃね?

そしたら、
俺から破棄しても、公爵家は喜ぶだろうし。
よくわからんが、政治的なつながりの『政略結婚』であろうと思っていたが
彼は、セリィを大切にしているし、
だから、俺が公爵の目に余るような『馬鹿』で『能無し』の第二王子なら、
きっと 嫌われる!!

よっしゃ。
俺、10歳。くそガキ王子。

「・・モンレ公爵。面倒だ。と言ったら?」
「・・・・は?」

こ、こえぇぇ。
魔力が渦巻いて、何っていうの 超・威圧感!!

漫画だったら後ろに
龍やトラを背負ってるよ!


が、頑張れ、俺。
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