王子は冒険者になる!
*
フランチェスコ王子は
ふわぁあ、と 欠伸が出るのをかみ殺しながら
騎士タイラーと側近のジゼを待っていた。
夜は、やんわりと 冷たい風が流れる。
*
**
俺が 騎士タイラーにお願いしてジゼを呼んできてもらう間に
ジゼの分の ティーカップを用意する。
自分で用意するなんて!ってリィアに怒られそうだけどな。
ジゼはすぐに来た。
こんな時間に呼び出して申し訳ないな。
まぁ、座れ と言って 俺の向かい側のソファに腰かけさせて
そっと 入れたばかりのお茶を差し出す。
俺がこういうことをするとは思わなかったんだろう。
一瞬の驚きの後に、すぐにいつもの無表情に戻る。
ははは。相変わらず 感情出さないやつだなー。
「正直に話してほしい。
ジゼ・・・ジゼディシアロー。」
「は・・はい。なんでしょう?」
出来るだけ、ジゼをまっすぐ見つめる。
そーいや ジゼって 青緑っていうの?
綺麗な瞳だよな。コバルトブルーっていうの?
なんて、どうでもいいことを思いながら
ずっと聞きたかったことを聞いてみる。
「お前は、俺の「側近」なのか?」
「・・・・・・・・・っ。」
え?なに、この間。
え?え?なに?
もしかして、側近じゃなかった?
俺の一人勘違い?
こんなガキの側近とか、やってらんねーよってやつ?
うわーまじかぁ。
ジゼがいなかったら、たまに来る『公務』とかをはじめ
各種お茶会や 有力貴族の誕生会的なのとか
さっぱり スケジュールも段取りも組めないんだけど。
焦るように、ジゼを覗き込む。
「・・・ジゼ?」
「っ。失礼しました。
私は、フランチェスコ王子 の、「側近」でございます。」
あわてて、ジゼは深々と頭を下げる。
よ、よかった。
てか 一瞬 迷うくらい 側近・・・嫌だったかな。
ちょっと、俺 泣きそうだよ。
「そうか。僕と一緒に、学園についていく気はある?
それとも、残る?」
「・・・・いえ。その、ご希望でしたら。ぜひ。」
思わず、苦笑する。
そうだよな。俺が言ったら断れないよな。
「ごめんな。ジゼ。試すようないい方して。
お前には、ココでやるべきことがあるんだろう?」
文官の仕事もしながら 俺の世話もして
大変だろうけどさ。
俺が学園に行っている間だけでも 楽してくれりゃぁいいけどな。
「側近、なんて ジゼ一人で十分だから、
学園にはだれか「従者」を選んでくれ。従者は身の回りの世話だけだろう?
身分は問わないが・・・ジゼが 選んだものと学園で学ぶよ。」
うん。丸投げ。
自分で選ぶのも面倒だし。
ジゼは、「賜り・・・ました」
と、珍しく動揺して カップのお茶をぐいーーっと全部飲み干した。
*
まさか、この時
ジゼが「側近はおまえひとりで十分だ」という言葉に
衝撃を受けて フランチェスコ王子に 忠誠を固く誓っていたとか
「お前は側近か?」という言葉に
「影になりあなたを守ってます」なんて言葉を飲み込んでいた。
なんて、のんきな フランチェスコ王子は知る由もないのでした。
*
「あぁ、これでももう『お茶』飲まなくてもいいよな?」
お茶会の 頻度が落ちるだろう。
なんてのんびり思いながら ジゼの退出を見送るのだった。
フランチェスコ王子は
ふわぁあ、と 欠伸が出るのをかみ殺しながら
騎士タイラーと側近のジゼを待っていた。
夜は、やんわりと 冷たい風が流れる。
*
**
俺が 騎士タイラーにお願いしてジゼを呼んできてもらう間に
ジゼの分の ティーカップを用意する。
自分で用意するなんて!ってリィアに怒られそうだけどな。
ジゼはすぐに来た。
こんな時間に呼び出して申し訳ないな。
まぁ、座れ と言って 俺の向かい側のソファに腰かけさせて
そっと 入れたばかりのお茶を差し出す。
俺がこういうことをするとは思わなかったんだろう。
一瞬の驚きの後に、すぐにいつもの無表情に戻る。
ははは。相変わらず 感情出さないやつだなー。
「正直に話してほしい。
ジゼ・・・ジゼディシアロー。」
「は・・はい。なんでしょう?」
出来るだけ、ジゼをまっすぐ見つめる。
そーいや ジゼって 青緑っていうの?
綺麗な瞳だよな。コバルトブルーっていうの?
なんて、どうでもいいことを思いながら
ずっと聞きたかったことを聞いてみる。
「お前は、俺の「側近」なのか?」
「・・・・・・・・・っ。」
え?なに、この間。
え?え?なに?
もしかして、側近じゃなかった?
俺の一人勘違い?
こんなガキの側近とか、やってらんねーよってやつ?
うわーまじかぁ。
ジゼがいなかったら、たまに来る『公務』とかをはじめ
各種お茶会や 有力貴族の誕生会的なのとか
さっぱり スケジュールも段取りも組めないんだけど。
焦るように、ジゼを覗き込む。
「・・・ジゼ?」
「っ。失礼しました。
私は、フランチェスコ王子 の、「側近」でございます。」
あわてて、ジゼは深々と頭を下げる。
よ、よかった。
てか 一瞬 迷うくらい 側近・・・嫌だったかな。
ちょっと、俺 泣きそうだよ。
「そうか。僕と一緒に、学園についていく気はある?
それとも、残る?」
「・・・・いえ。その、ご希望でしたら。ぜひ。」
思わず、苦笑する。
そうだよな。俺が言ったら断れないよな。
「ごめんな。ジゼ。試すようないい方して。
お前には、ココでやるべきことがあるんだろう?」
文官の仕事もしながら 俺の世話もして
大変だろうけどさ。
俺が学園に行っている間だけでも 楽してくれりゃぁいいけどな。
「側近、なんて ジゼ一人で十分だから、
学園にはだれか「従者」を選んでくれ。従者は身の回りの世話だけだろう?
身分は問わないが・・・ジゼが 選んだものと学園で学ぶよ。」
うん。丸投げ。
自分で選ぶのも面倒だし。
ジゼは、「賜り・・・ました」
と、珍しく動揺して カップのお茶をぐいーーっと全部飲み干した。
*
まさか、この時
ジゼが「側近はおまえひとりで十分だ」という言葉に
衝撃を受けて フランチェスコ王子に 忠誠を固く誓っていたとか
「お前は側近か?」という言葉に
「影になりあなたを守ってます」なんて言葉を飲み込んでいた。
なんて、のんきな フランチェスコ王子は知る由もないのでした。
*
「あぁ、これでももう『お茶』飲まなくてもいいよな?」
お茶会の 頻度が落ちるだろう。
なんてのんびり思いながら ジゼの退出を見送るのだった。