王子は冒険者になる!

学園での勉強は・・・

ーーすっげぇ 基本すぎる・・・。

こんなの、王宮で幼いころ学んだやつじゃん。
てか、俺 知らない間に『英才教育』受けてたんだなーって自覚。

まじかー。 どーりで 難しいと思ったよ。
まぁ、復習の意味もかねてしっかり授業は受けてますけどね。

体術や剣術も まぁ、ほどほどに 力を抜いてやっている。

っていったら、まるで俺が強いみたいに聞こえるけどさ・・・
一応みんな「王子様」に気を使ってるんだろうな
簡単に投げられたり、剣をはじかれたりするんだよな~
やられている本人にはわかるからな!そーゆーの。
はぁ。だから、そーゆー気遣いいらねーって。

帰って
サーフェス先生と マーカーに 相手してもらおう。
動き足りない。

ちなみに、アレッサンド第一王子、ことアレク兄様は 学園の寮に入ってるが
俺は、王宮から通っている。
毎朝、自分と騎士ビラットか騎士タイラー どっちかと転送魔法で通学。

転送魔法は上位魔術で まず、陣を書くのにも発動させるにも
大量の魔力が必要なんだぜ。
専属騎士たちが 魔法量半端なく持っててよかったよ。
通学を希望する貴族は それなりに強い『部下』がいますよって
アピールにもなるらしい。

アレク兄様は 研究に没頭したいから
迷わず『寮』を選んだらしいけど。
俺はなぜか、迷わず『通い』を選択させられた。

警備が 寮だと 多少手薄になるから だと。

「アレク兄様が 寮でよくて、
 なぜ、僕がダメなんだ?」
「アレッサンド様は「黒の魔力」のコントロールが良くて
 防御や警告の魔術も完璧です。
 無防備に近づくと こちらの魔力が吸われますので
 下手な警備より 安心です。」

だと。え?なに、魔力が安定していない俺への嫌味と受け取った!
おのれ、騎士ビラット!

というわけで、
今は「魔術」の授業。

運動場みたいなひろーーい空間。

よーーくみると、
大地にも奥に見える塀のほうから
結界が張られている。

おぉ。大規模結界。

美しいな。
目を凝らすといろいろな色彩に輝く。

学園の結界はこちらに努めている教師が
朝 魔力を補充して どんどん強化しているらしい。

だから、何十人もの 国のトップレベルの講師たちの魔術が
折り重なっているのだ。


「フラン様。」
「ん?」

集合か。
ラディ君に呼ばれて 先生のもとに集まる。
最近やーっとラディ君も「フランチェスコ王子」からフラン様になったんだよな。もう少し砕けた態度でも全然オッケーなのに、あ、ちなみに今日は、AクラスとBクラスの合同授業。


「さぁ、一人ずつ、
 得意な魔法を見せてくださいな。
 あ、攻撃魔法は あちらの的にお願いしますねぇ。」

先生は、にっこり笑って
100メートルほど先の木についている的を指差す。

うわ・・・引くぐらい「防御」が かけられるじゃん、あの的。


皆が見せる「魔術」は興味深かった。
やっぱりなー、すごいなー
いろんな発想があって。

土魔法で 壁を作るだけじゃなくて
ゴーレムみたいに形を作ってみたり、
火の魔法で 生き物みたいに動かしてみたり。

攻撃魔法は 的に思いっきりぶつける。
おぉ。すごい迫力。


感心していると、
ラディ君の番だ。

「では、あのっ。行ってきます。フラン様」
「うん。がんばってー。」

てか、ラディ君って得意なのは何だろう。
どうやら、攻撃魔法らしい。的の前で すっと 構える。

アーモンド色の髪が 揺れた と思ったら、
ぶおぉぉぉおおぉおぉ!!!

すっごい 土埃と熱波。

ラディ君が空中で何かを書いて(俺の所からは見えない)

どおぉぉおぉぉおおぉーーー・・・ん!!!!

どがどがっと 地面が盛り上がり
的に向けて 岩石が飛びかかる。
無数の火の矢が的に向かって 飛んでいった。

「す、」
すげぇ・・・・・

周りも、「うわぁ。」「さすが」とか感嘆が漏れる。

魔力もすごいけど、魔術の繊細な扱い、
これが『安定した魔力』なんだろう。

ラディが俺の 従者 に選抜された理由がちょっとわかったかもしれない。

「い、いかがでしたか?」
「ラディ君すごいよ!! めっちゃ 強いじゃん。」

ラディ君が 照れたように 笑った。


< 87 / 150 >

この作品をシェア

pagetop