王子は冒険者になる!

***

****


フランチェスコ、友達が出来ました。

しかも、女子、だぜー!


「え?ってことは・・・先輩?
 ソフィアおばぁちゃん?的な?まじかー。」
「あら、いやだわぁ。
 今は 同級生ですわよ。フラン王子。
 し か も 女性に年をダイレクトに聞くなんて・・・」

お友達になった ソフィアさんは はぁ。とため息をついた。

「なんか、す、すいませ・・」
「あら、私ごとき男爵家の者に
 謝ったらだめですわよ。王子様?」

「あーそうだよな。マナー的には。もー、いいじゃないか。
 どうせ 周りは俺と、君と あ、あそこにラディ君がいるだけだし。」

中庭の、ベンチに俺とソフィアさんはいた。
ベンチって言っても、
公園とかにある奴じゃねぇよ?

雨降ったらどうするんだろう、と思うくらいのふんわりソファ。
机の向かいに、ソフィアさん。

1つあけてラディ君が 心配そうに見ている。


あの、魔術の時間に
思わず、ソフィアさんに声をかけたのは俺だ。

だって、あれを、花火だと感じたんだぜ?
そりゃ、
声をかけるだろう。
この世界には『花火』の概念はない。
あれは「照明弾」とかの応用。
はじける光を色とりどりに発行させて術を展開させたものだ。
ま、花火だな。だからあれを的確に「花火」とつぶやいたソフィアに
そりゃ、
声をかけるだろ?

んで、 丁度 ランチタイムだったので
中庭のこのスペース陣取って 話し込んでるってわけ。

もちろん、
二人の間には『防音結界』を展開しました。


もー、俺 びっくりだよ。

彼女、ソフィアさんは なんと 50代ぐらいで亡くなった女性だったんだと。
それが、生まれかわり?
みたいな体験をして、ソフィアとして生きているーーみたいな。

やべ、
俺、共感しまくりだよ。

おもわず、俺も!!!って叫んじゃったよ。

し か も どうやら、ニッポンで生活していた記憶があるらしい。
だから、魔法陣が『漢字』っていうのもわかるらしい。

てか、きっと むかーーし昔、この魔法陣を考えた人は
俺たちみたいに 前の記憶 を持った奴なんじゃないか。と思う。

「まぁ、私は・・・
 そんな『前の記憶』なんて どんどん曖昧になって
 今は、今よね。と思って 楽しく生きようと思ってるんですけどねぇ」
「まぁ、俺も
 昔の『名前』とかも覚えてないしなー、ただ精神年齢が『安定』したかな。」

ソフィアさんはのんびりした口調で ふふふと笑った。

「わかるわ。私も、精神が安定して
 魔力も安定しましたから・・・」
「ソフィアさんはさ、」
「フラン王子、なぜソフィアさん?ソフィアでよろしいですよ?
 あ・・・すいません。不敬でしたね。」

「ははは。いや、 だって 俺の秘密を知って
 なおかつ人生の先輩を呼び捨てにだなんて 恐れ多いっす。」

「ちょっ!もぉ、ひどっ。
 精神はちょっと大人すぎますけど今はぴちぴちの少女ですよ?」

あはは、と笑いあう。
ちらり、と横目でラディ君が目に入る。

あら、まぁ、苦々しそうな 複雑な顔。
そうですよね。
一応、君 「フランチェスコ王子の従者」的な立場ですからね。

いくら、俺が 頼りない『第二王子』だからって
無造作に 女性を呼び捨てになんてしませんよー。
友達になったからソフィアさんって呼ぶけど
ちゃんと他では「レストン男爵令嬢」って呼ぶからさ、
そんな 心配そうに見守らなくて大丈夫だって。

友達になりたいからこそ 名前の呼び捨てはダメだ。

「ま。友達として よろしくな。
 いろいろ 情報とか共有しような。」
「まぁ。わかりましたわ。フラン王子。」

がしぃっと握手を交わす。
あれだな、『商談成立』


「あぁ、アレク・・・様にも よろしくお伝えください。」

あぁ、そういえば アレク兄様と手紙のやり取りしてたっけ。

「やだよ。面倒。
 てか、なに、アレク兄様 狙い?」
「ふっ。まさか。若すぎるわぁ。」

ソフィアさんは くす。と笑った。
お、おう。そうですか。
てか、そうですよね。

< 89 / 150 >

この作品をシェア

pagetop