王子は冒険者になる!


と、そろそろ
午後の授業だな。

ぱしん。

小さなはじける音がして『防音』魔法が解かれる。


ごきげんよう。と 淑女らしく、
ソフィアは軽く 礼をして手を振った。

こちらも、軽く手を挙げて見送る。

すぐに ラディ君が心配そうに近寄る。

「あの、フラン様?・・・あの子、
 気に、いったんですか?」
「ははは。そんな心配そうな顔しなくても、
 友達になっただけだ。」

そうですか、と言いながら、ラディ君の憂いは晴れない。

でしょうね。

ラディ君は公爵家・・・
俺の第一婚約者候補の セリィの従弟だし。

「なぁ、ラディ君は友達作りに反対なのかい?」

「・・・・っ。」

言葉に詰まる。

まぁ、別にいいけど、公爵家の回し者でも、
側近のジゼが手配した『護衛』を兼ねた見張りでも。

「答えられないなら・・・別に いい。
 ただ、ソフィアさんと 友達になっただけだ。
 卑しい想像で『報告』するなよ?俺はラディ君こと気に入ってるから
 余計なことをしたら 悲しいな。」

にこっと 微笑んでおこう。

ここまで 釘をさしたら 大丈夫だろ。

ラディ君が「はい。」と小さな声でうなずいたと同時に
午後の始業の ちりーーーーん という鈴の音が響いた。

上品すぎるわ!!
聞きのがす。

てか、「やべ。遅刻だな。」

俺とラディ君は急いで教室へと向かうのだった。

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