王子は冒険者になる!
警備も付けずに・・・
「大丈夫だろうか・・・」
リュウが楽しそうにわらって 首を振った。
「アレッサンド様。
彼は大丈夫でしょう。思っている以上にお強いですので。」
「・・・リュウがいうのなら そうであろうな。
この事を 宰相や・・・フランの側近に言うか?」
「いいえ。私は
あなたの『影』です。」
リュウは僕の前でうやうやしく跪いた。
サントスが気が付いたように
話しかける。
「あ、でもアレッサンド様。
フラン様には専属騎士と側近がいるでしょう?
その方たちの専属の契約魔法には、若干ですが主従認知魔法が
あるので、場所を知られるのも時間の問題では?」
あ、そうだった。
僕も、従者であるサントスがどこにいるか、と意識すれば
大体の位置を把握できるし。
専属の騎士2人と、影であるリュウも
解る。
「じゃぁ、フランの逃亡劇もすぐにおわるかな?」
ちょっと かわいそうだな。
とつぶやくと、
リュウが楽しそうに笑った。
「いやぁ、サントス様、アレッサンド様、それがですね
フランチェスコ様。
専属の契約の魔法を 専属騎士とも、側近とも
だーーれとも 交わしていないんですって。」
「「はぁ?」」
な なんだって?
騎士の誓いだぞ。あの、崇高な術を・・・受け入れていないのか?!!
「しかもですよ。
陛下にあてた 手紙・・・
あれ、ずいぶん幼い字で書かれていたそうですよ。
あ、鍵である魔法は最近のモノでしたが。」
そうなのか。
「フランチェスコ王子、何年も前から
逃亡を企てたんでしょうね。
ほんとに、13歳ですか?面白い子だ。」
リュウが本当に楽しそうに笑う。
思わず、僕も笑ってしまう。
「そうだなぁ・・・10歳頃からじゃないのか?」
あの頃から、しっかりし始めた。
外を見て、学び 旅立つ準備をしてたんだろう。
リュウはにんまり笑って「し、か、も。」
「あの、アローを出し抜いたのが楽しくてしょうがない。
最高の暗殺者、暗部の時期筆頭とまで
言われているジゼディシアローがっ。
13歳なんて丸め込めるなんて かるーく考えてたんだろうな
がはは。後でからかってやろーっと。おっさんは引退してくださいってな。」
「リュウさん。慎んでください。」
サントスがリュウを戒める。
僕は思わず苦笑した。
コードネーム 『アロー』は 有名だ。
アローの仕事ぶりは性格で残忍で 最短。
リュウは若手の一番の暗部だ。
アローの仕事ぶりに、あこがれ
そして、その鮮やかさに嫉妬してるんだろうなぁ。