恋のかたち。〜短編集〜
嫉妬
「なぁ。さっきそこで話してたの誰?」
大学の休憩スペースで俺は彼女の双葉(ふたば)に声をかけた。
双葉がさっきまでここに男とふたりでいるのがみえた。だから急いで来たのだが、晴希がここに着くと男はもういなかった。
「通りすがりの人だよ」
「前から知ってる人?なんか楽しげだったよね」
「や、初めて喋ったけど…なんで?」
「だって双葉は男苦手じゃん。なのに…他の男と普通に話してて楽しそうだったから。俺は仲良くなるのに時間かかったんだけどな」
「ふふふっ、晴希、もしかして嫉妬してる?全然話してなかったよ」
「あれ、俺超ダサい感じ?ごめん。今の聞かなかったことにして。恥ずかしすぎるわ」
「なんで?私が好きなのは晴希だけだから全然いいんだよ」
「双葉って、大抵の男は嫌いだけど、帰国子女だからかいつも言葉が直球だよな。直球すぎてこっち恥ずかしいよ」
「え?だって言わないと伝わんないよ」
「それもそうだな」
俺は一呼吸置いてから続けた。
「俺も双葉が1番好きだよ」
俺は双葉を力一杯抱きしめた。
ここがあまり人が来ることの無いスペースで感謝した。
「それで、さっきの男本当に何も無いんだね?」
「心配性だなぁ。あるわけないよ。プリント落としてたの拾ってくれたの」
「そっか。男とふたりでこんな所大丈夫だった?」
「まだ少し怖いけど。晴希がいるから。大丈夫」
「そっか。何かあったらすぐ連絡しろよ」
「うん」
そして俺は可愛い可愛い双葉に何度も何度も口付けをした。