恋のかたち。〜短編集〜
試合
『明日試合頑張ってください♡』
『応援してます♡』
インハイ県予選決勝前、最後の部活が終わるとエースである満坂大輔(みつさかだいすけ)の周りにはたくさんの可愛らしい女子が群がっていた。
エースでイケメンだから人気なのもわかる。
でも、満坂も満坂だ。
鼻の下伸ばしちゃって。
私は軽く溜息をついてから声をかけた。
「満坂ぁ、ミーティング始まるよー」
「おーう今行くー」
「みんなありがとね」
と得意の爽やかスマイルで言って、こちらに来た。
『マネージャーっていいよねぇ』
『たいした可愛くないくせに』
という女子のヒソヒソ声が聞こえてくる。
いつもの事だが、“マネって楽じゃないから!”とツッコミたくもなる。
それに、聞こえるくらいの大きさで言ってくるところが面倒だ。
「さすがエースでイケメンの満坂は女子からモテモテですね」
「気にすんなよ。柳瀬(やなせ)可愛いから」
「は?」
「さっきの女子の声」
「あぁ。満坂にしてはフォロー上手いんじゃん?」
「うるせぇ。…好きなやつからはまだ何もしてもらってないけどな」
「へぇ。満坂好きな人いるんだ」
「いる」
と満坂が言ったところで部室に着いた。
これから最後のミーティングが始まる。