恋のかたち。〜短編集〜

試合




『明日試合頑張ってください♡』

『応援してます♡』


インハイ県予選決勝前、最後の部活が終わるとエースである満坂大輔(みつさかだいすけ)の周りにはたくさんの可愛らしい女子が群がっていた。

エースでイケメンだから人気なのもわかる。

でも、満坂も満坂だ。

鼻の下伸ばしちゃって。


私は軽く溜息をついてから声をかけた。



「満坂ぁ、ミーティング始まるよー」


「おーう今行くー」


「みんなありがとね」



と得意の爽やかスマイルで言って、こちらに来た。



『マネージャーっていいよねぇ』

『たいした可愛くないくせに』



という女子のヒソヒソ声が聞こえてくる。

いつもの事だが、“マネって楽じゃないから!”とツッコミたくもなる。

それに、聞こえるくらいの大きさで言ってくるところが面倒だ。



「さすがエースでイケメンの満坂は女子からモテモテですね」


「気にすんなよ。柳瀬(やなせ)可愛いから」


「は?」


「さっきの女子の声」


「あぁ。満坂にしてはフォロー上手いんじゃん?」


「うるせぇ。…好きなやつからはまだ何もしてもらってないけどな」


「へぇ。満坂好きな人いるんだ」


「いる」



と満坂が言ったところで部室に着いた。

これから最後のミーティングが始まる。



< 21 / 36 >

この作品をシェア

pagetop