恋のかたち。〜短編集〜
補習
「美穂さぁ、本当に意味わかってんの?」
私相田美穂(あいたみほ)は、今担任の先生山下雅斗(やましたまさと)に怒られています。
「俺は美穂が好きだって言ってんだよ?」
幼馴染でも何を考えてんだかわからない。
「なのになに?なんで新学期早々補習とってるわけ?俺とそんなに居たいの?」
告白されたあとのテストはいつにも増して最悪だった。そして今は補習中。教室には先生と私しかいない。
「英語が1番苦手なんです」
「苦手にも程があるだろう。2点なんてどうやってとったんだ?」
先生は私の答案用紙をヒラヒラさせている。
「私だってわかりませんっ」
「はいはい、ちゃんと教えてやるから座れ」
「…この間みたいなことしないでよ」
「この間みたいなことって?」
「不意打ちのキス」
「あぁ、しないよ。良い返事貰うまで」
「するならちゃんとしてください」
「…は?」
「シチュエーション」
「ん?」
「だから!私も雅斗が好きなの!」
「やっぱり」
先生はニヤリと笑った。