恋のかたち。〜短編集〜
サッカー
放課後。教室の窓からみるサッカーが好き。
この時間だけは誰にも邪魔されたくはない。
「京子」
後ろを振り向くと隣のクラスの斉藤がいた。
「何見てんの?」
「サッカー」
「好きな人でもいんの?」
「別に」
「俺もサッカーしたいなぁ」
と言いながら斉藤は隣に来た。斉藤も去年まであちら側にいたが怪我をして辞めたらしい。
「なーんてね。京子に会えたから良いや」
斉藤の話を半分以上聞きながしながらサッカーをみていると、川北先輩がこちらに気づいたようで笑顔で手を振ってくれた。
この時がどうしようもなく嬉しい。
「京子は川北さんが好きなんだ」
「…」
「みてたらわかるよ。そんな真っ赤にして。俺の話半分も聞いてないだろ」
「…離して」
気づいたときにはもう遅かった。
後ろから強く抱きしめられていた。
「何で?」
「先輩にみられたくない」
「すごい好きなんだね。でも俺のことも少しくらい見てよ。俺だって京子がすごい好きなんだから」
「ごめん」
私はどうすることも出来なくて、その場から逃げてしまった。