恋のかたち。〜短編集〜
「追いかけないの?」
先輩は呆然と立ちつくしている私に声をかけた。
「追いかけてもなんて言えばいいか…」
「なんでもいいんだよ。思ってること全部言えば。じゃないと、俺が真宮と付き合えないからさ」
笑顔でそう言ってくれた。
だから、私は無我夢中で追いかけた。
「瑠璃香!!」
「何よ。付いてこないでよ!」
「ついてく!絶対!」
「1人にしてよ!」
「ヤダ!!」
瑠璃香の腕を掴むことが出来た。
息が整ってから私が先に口を開いた。
「瑠璃香は私のいちばんの友達だから」
「じゃあ、なんで、なんで言ってくれなかったのよう」
瑠璃香は泣き始める。
「うん。ごめんね。言えなかった」
私もつられて泣き始める。
「いちばんなのに?」
「いちばんだから。瑠璃香が大事だから。瑠璃香が幸せなのがいちばんだから。だから」
「だから、私は付き合えないって?ふざけんじゃないわよっ!」
「それ、は、私が悪い、から」
「私だって恋は1番の友達だから、許すに決まってんでしょ!」
「…ごめんね」