恋のかたち。〜短編集〜

バレンタインの日。

俺は、勇気をだして花乃に告白したが数週間経っても返事はない。

屋上(または近くの階段)で一緒にお昼を食べる(俺が無理やり一緒に食べる)という関係のままだ。

「いつまでも待つから」とは言ったものの、この関係はやっぱりむず痒い。

が、急かすのも「待つ」と言った手前したくない。


「花乃の弁当今日も美味しそう」

「あげないよ」


さすがわかっている。俺は欲しかった。


「そう言えば、聞いてなかったけどチョコどうだった?」

「美味しかったよ。手作り?」

「俺の夢一応パティシエ」

「凄いね、夢あるの、しかも美味しいし、ビックリ」

「でもご飯系は得意じゃない」

「私もスイーツは得意じゃないけど。これ」

「何?これ?」

「今日、ホワイトデーでしょ」

「あ、ありがとう、開けてもいい?」

「いいよ」


可愛い箱を開けると、中には小さめのバームクーヘンが入っていた。そして、小さいメッセージカードが添えられていた。

『明日からお弁当作ってあげる。』


「花乃これって…」

「私、琉真の彼女になりたい」

「っ…!!!!!!」


俺は、嬉しすぎて勢いで抱きしめそうになった。


「花乃…抱きしめていい…?」

「その顔でその言い方は反則」

花乃はそう言って顔を赤らめながら俺の膝の上に座った。

そして「スイーツは琉真が作ってよね」ととびきりの笑顔で言った。

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