恋のかたち。〜短編集〜
間那と付き合って一週間が経ったある日の昼休み。
私は忘れ物を取りに行くため部室へ行った。
部室の前へたどり着くと、誰かいるのか、声が聞こえた。
『先輩ソッコーでおちたんだけどww』
『どーすんだよ直人ww』
『浮気現場目撃させれば?www』
『んーー。どうしよ、先輩嬉しそうなんだよなww』
『直人が1番楽しそうだなww』
これは、間違いなく間那と、あとは、間那の同級生のバスケ部員の菜島(なじま)と鏡(かがみ)だろう。
「だーから、アイツはやめとけって言っただろう?」
声が聞こえた方を見ると、ニヤニヤしている桃矢が私のことを見下ろしていた。
桃矢をしばらく睨んでいると、先に目をそらされ、桃矢は顔をドアの方へ向けた。
そして
──バンッッ!!
と、桃矢は思いっきりドアを蹴って開けた。
ドアが壊れなかったことに少しほっとする。
中にいた人達を見るとみな目を丸くしてこちらを見ていた。
「直人!玲は俺のだから。勝手に勘違いすんな」
「急にどうしたんですか?桃矢先輩と玲先輩ふたり揃って」
さも何もなかったように、間那は答える。
「今の話、何?」
私は意外にも冷静だった。
「まるは、今の話聞いてたんだよ。俺はもちろん前から知ってた」
「何のことですか」
「お前らが、恋愛経験なさそうな女捕まえて、遊んでいることだよ」
「あんたらさ、よく部室でそういう話出来たなぁ?」
「あーあ、まる怒っちゃったー」
「え?」
「普通そういうリスクある話ココでするかな?私ここのマネなんだけど?あんたらバカじゃないの?脳あんの?そういうの楽しい?面白い?あんたらはモテるかもしれないけど少しはこっちの気持ち考えなさいよ。それに間那あんたいつも練習真面目にやっているように見えて全然やってない。先生が見ている前だけだよね?もっと桃矢を見習ったら?別にそこまで目指してないんなら部を思って辞め「玲!落ち「別に桃矢だけじゃなくて部長とかだってちゃんとや「玲!!落ち着けって!!」
「あ。あぁ、ごめん」
「…何ですか。今の」
私は肩で息をしていた。
そして、3人は唖然としているようだった。
「コイツ思ってること心に溜めるんだよ。そんでもっていつも俺に吐き出すのに、吐き出す相手いなくて困ってたってところだろ」
頷くことしか出来なかった。
「そしてまるは元…「桃矢それ以上言う必要は無い」
「あぁ、悪ぃ」
「とりあえず、もうこんなことやめなよ。部活も今までの態度なおさないと…わかるよね?それは、間那だけじゃなくて、そこにいる、菜島と鏡もだから」
「じゃあそういうことで、お前ら、もうまるを怒らせんなよー」
3人とも何が起こったのかわからないという様子だったが、そのまま放置して部室を出た。