あなたと私と嘘と愛

(そんな…)

愕然とした気持ちで彼を見た。
どうしてここまで言われなきゃいけないのか、目の前の坂井さんのことが急速に嫌になる。

そして人間性を疑った。
真由は大事な友達だ。それは私が決めることであって坂井さんが決めることじゃない。


「坂井さんは誤解してます。真由はいい子です。そして大事な友達です。これからも彼女とは親しくしていくつもりです」

「僕が嫌だって言っても?」

「当たり前です。やめません。いくら坂井さんでも友達のことまでとやかく言われたらさすがに私も怒りますよ?」


ぐっと奥歯に力を入れると、坂井さんの目付きが鋭くなったのが分かった。
何だかヒヤッとする。


「僕の言うことが聞けないの?」

「……え」

「君は僕の恋人だろう?普通好きな相手に言われたら、そこは素直に従うべきじゃないの?」

「それ…本気で言ってるんですか?」


従うって何?
これが本気なら尚更ショックを受ける。


「そ、そんなの普通じゃないですよ。坂井さん自分が言ってることちゃんと分かってます?」

「じゃあ何?僕が間違ってるとでも言いたいの?」

「そうです。坂井さんはただ自分の思い通りに私を動かしたいだけなんじゃないですか?」

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