あなたと私と嘘と愛
思わず自分の目を疑った。
(嘘…)
あれは先日1人で本屋に行ったもの。
(そしてあれは…)
あの写真は大学からバイトへと向かう道だ。それにこっちは私が自宅へ帰るとき。駅で電車を待ってるときなど、さまざまなシチュエーションのものが並べられている。
しかもよく見たら坂井さんと出会う前の写真まであった。
それを確信し、色んな角度から撮ったと思われるそれが隠し撮りだと気付いた時、サーと身体中の血の気が引いた。
「これって……」
「これが僕の愛の証だよ」
坂井さんが耳元でそっと撫でるよう囁く。
「僕はね。君の一瞬一瞬の行動を大事にしたいんだ。だからできる限り亜香里のことは把握しておきたい。そして知っていたい。
ここにある写真は全部僕の宝物だよ。これを見るたびに俺は幸福に浸るんだ。亜香里の可愛さに、そして可憐な表情に」
甘ったるい声に鳥肌が立つ。
そして背中にじとり、嫌な温もりを感じた。
背後からそっと抱き締められ、さらに体を密着させられるとゾッとするほどの恐怖に覆われる。