あなたと私と嘘と愛
その夜は不安ながらも思ったより寝ることができた。
それは優斗のおかげなのか、朝早く目が覚めてリビングに行くと本当に彼はソファーの上で横向きになって眠っていた。
あの10万円の毛布にくるまってる姿を見た瞬間どうしてか、うっすら笑みまで浮かび安心感が顔を出す。
まだ距離感は掴めないけれど、彼は私が思ってるほど悪い人ではないと言うことは最近分かってきた。
害を与えない人だ。
時々「亜香里」と名前で呼ばれることもまぁ、これぐらいならと受け流しができるレベルになってきてる。
見下ろす横顔はまるで彫刻のようでやっぱり綺麗だと思う。
寝てるだけなのにこんなに絵になる人は初めてだ。
思わず見とれそうになって慌てて視線をキッチンに向けた。
(何ガン見してるんだ、私は…)
急に恥ずかしくなり、コーヒーを入れる準備をする。
そうしてガチャガチャしていると、案外すぐに優斗は起きてきた。