あなたと私と嘘と愛
だけどとても頼りがいのある人だと思った。
この短時間ですごく信頼できそうな人だとも思え、心強さが倍になる。
家に帰ると珍しく母が帰っていた。
玄関にルブタンのパンプスを見た時は咄嗟に驚きの表情を浮かべてしまった。
「亜香里大丈夫なの!?」
顔を合わせるなり母は珍しく少し感情的だった。
私の全身をくまなくチェックして、何も無いことを確認すると見るからに安心した息を吐く。
「良かった。無事みたいね」
「……」
本当に心配してくれてたんだ。
目の前の母の様子を見てこの時初めてさっき言われた優斗の言葉を信用できた。
彼女の母親らしい顔を見たのはいつぶりだろう。
思わず優斗の方を見ると、何故か穏やかな眼差しを返された。
「でもまだ油断はしない方がいいわよ。ああいう男はマスコミぐらいしつこいから」
母は良く知っていた。
昔自分も同じ経験があることを告げられた時は驚いたけど、彼女は女優だ。
熱狂的なファンだっている。
色んな人に知られてる分、私より何倍も、いやきっと何十倍も危険と隣り合わせなことに気が付いた。