あなたと私と嘘と愛

「とりあえず何かあったらすぐに連絡しなさい。腐ってもあなたよりは色んな経験をしてる。自分を守るぐらいの知恵ぐらい知ってるわ。あと、弁護士にも依頼しなくちゃね」

ほけっとして母の言葉に耳を傾ける。
言いながらすでに携帯をいじり、耳にあてがっている母に圧倒されてしまう。

「そうだ、暫くの間この家から離れてホテルに移住しなさい。ここは危険よ。私のよく使う安全な場所を紹介してあげるからすぐに荷物をまとめなさい」

「…えっ」

そんなに急に!?驚いたけど母の意見は強し。母はこのマンションが坂井さんに知られてることからこの件がちゃんと片付くまで何処かに身を隠した方がいいと言いだした。

確かにその意見はもっともだ。
坂井さんは逃亡中でまだ見つかっていない。
私だってありがたいけど…

「そうと決まればさっさと支度する!」

「…は、え?」

急すぎる。
たじたじになりながら私は優斗と顔を見合わせた。

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