あなたと私と嘘と愛
そんな妹さんの登場で坂井さんの勢いも止まる。
驚いた様子で2人の警察に押さえつけられている。
「そんなグズ野郎はさっさと連れてって下さい。なんなら一度精神科にも送ってください」
そして彼女は警察に見放す発言を放ち、すごい剣幕で坂井さんを睨む。
あっさり捨て台詞を吐くと私達の方へガバッと頭を下げた。
「あの、うちの兄貴がすみませんでした!」
これには驚き優斗と顔を見合わせたけど、妹さんの説明に2人して納得させられる。
彼女は全部知っていたのだ。坂井さんの行動を。
話し出す彼女に耳を傾けると、妹さんの友達が何年か前に坂井さんに軽いストーカー行為をされていたというのだ。
そのせいで精神的に参ってしまった友人は北海道の実家に逃げるように帰ってしまい、妹さんも相当のショックを受けたとか。
それから妹さんは兄である坂井さんの行動を頻繁にチェックするようになり、今後同じことを繰り返さないか見張ってたと言う。
「最近兄の様子が変だってことは気付いてました。だからちょくちょく様子を観察してて、だからあなたを自宅に連れ込んだ時は正直焦りました。また第2の被害者が出るんじゃないかって」
「だからあの時現れて…」
クリスマスの時のことを思い出す。
偶然ではなく、彼女は意図的に現れたんだ。