あなたと私と嘘と愛
優斗の怪我は大したことはなかった。
切られた傷も思ったより深くはなく、少し縫っただけで本人もけろっとしていた。
良かったとホッと肩を撫で下ろす。
「…あの…、私のせいですみませんでした」
お風呂上がり、包帯を替える優斗を手伝いながら深々と頭を下げた。
さすがに申し訳ない。
彼にも沢山迷惑をかけてしまった。
それなのにまだ1度も謝っていないことに気が付いた。
「何、急に…」
「だってまだ1度もお礼もお詫びも言ってなかったなと思って…」
しゅんと項垂れると意外そうな顔が…
「助けてくれてありがとうございました」
驚いた表情が瞳に写ったけど、深々と頭を下げた。
これは私なりのけじめであり、本心からくる感謝だから。
「…君にお礼を言われる日がくるなんてね」
優斗はやっぱり意外そうに、感心したような視線を向けてきたけどどことなく嬉しそうに見える。
「まぁ、君が無事でよかったよ」
「本当に助かりました」
「ああ」
「なんか嬉しそうですね」
そんな私を見て何故か笑ったけど、私はへこんだまま顔が上げられず包帯をくるくると巻く。