あなたと私と嘘と愛

そこで田宮先生が苦笑い。

「相変わらず南条先生は愛想ないなぁ。でもお疲れ様です」

「…ああ…」


南条先生は一瞬田宮先生に視線を向けたものの、すぐに反らしてさっさと歩いて行ってしまった。

本当そっけない。
顔は俳優並みにかっこいいのにね。
性格がかなり難ありの人だと思う。

ズバリクールな無神経タイプ。

あの性格じゃ普段絶対損してる。
仕事中でも基本無表情だし、そして神経質。
患者さんに対してもほぼ変わらない愛想だし、それで大丈夫?って思ってしまうけど、今のところ患者さんからのクレームはないらしい。


「……私、あの人苦手です」


すると隣の真由がぼそりと言った。
目の前に田宮先生がいるのにも関わらずえらくトゲのある毒舌ぶりだ。


「私の担当変えれないかなぁ。どうせなら田宮先生の補助に付きたいです」


確かに。と思わず頷いてしまうほど彼女の気持ちは良く分かる。

うちは基本、最初院長に振り分けられた先生の補助にずっとつくことになっている。
だから仕事中は常に担当の先生との呼吸が大事になるわけで。
先生達の顔色を伺って動くのも私達助手の大事な仕事なようなものだ。


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