あなたと私と嘘と愛
変なの変なの変なの。
何だか自分が悪いことしてるようで落ち着かない。
それ以上に胸が痛い。
「でもこれだけは覚えてて」
「え?」
「悠里さんにとって君はかけがえのない存在だってこと。それだけは分かって欲しい」
再び合わさった視線に息が止まりそうになった。
そんなの嘘。優斗の思い違いだよ。そう思うのに何故か言葉が出なかった。
反論できず固まったままの私に優斗は切な気な表情で最後私の横を通りすぎた。
「やばいキツイ、俺もちょっと寝てくるわ」
そしてふんわりとした空気に変わる。
「おやすみ」と同時に優斗の掌がポンと肩に乗った瞬間一気に目の前がクリアになった。
やっぱり変。
今まで感じたことのないわだかまりを感じた瞬間だった。
胸の中で何かが突っかかっている。
その得体のしれない重みが何とも気持ち悪くてもどかしい。
「…なによこれ、私も疲れてる、の?」
けどこのわだかまりの正体に気付くのはけっこう早かった。思ったより早い段階で気付くことになり、私はこの先より深く悩むことになる。