あなたと私と嘘と愛
何が禁断の世界よ。
甘く淫らな蜜よ。
考えただけで顔が爆発しそう。
「べ、別に優斗とどうにかなりたいなんて思ってないから」
「ていうけど、人間は欲の塊だからね〜。ほらこのドラマだって今まさに姉の婚約者を奪おうとしてる」
「む…」
ムリムリムリ!
私にそんな勇気はない。
そもそもあっちだっていい迷惑だよ。
第一優斗は母が好きなわけだし、私のことなんて眼中にないはず。
時々見せる優しさだって家族としての対応だ。
私に父親として認めて貰いたくての行動だと分かってる。
「じゃあ一生報われない片想いに浸って満足なわけね」
「しょ、しょうがないじゃない、私だってどうしたらいいかわからないのにっ」
むすっと頬を膨らませると、持っていたポッキーで茶化すようにつつかれた。
「可愛いねぇ亜香里ちゃんは、無謀だけど応援したくなるわ」
「もう…」
他人事だと思って言いたい放題。これでも真剣に悩んでるの。
意思に反して増えていく想いのピース。
最近思う。近ごろ予想外のことが多すぎるって。