あなたと私と嘘と愛

「そ、そうだっけ…」


うろ覚えだが何となく記憶がある。
それは一年前ぐらいだったか、優斗の書いた脚本が映画になり、それが新人賞を取ったことで一時期大きな話題になったんだ。

けっこう毎日のようにネットやテレビでもでてたっけ?

何を隠そうその映画がうちの母と優斗を結びつけた話題作。
そして記憶がフラッシュバックするようハッとした。

当時の私は母の名前が出るだけでテレビのチャンネルを変えていた。
だから優斗の存在も知ってるようでほとんど頭に入れていなかった。

だから気づかなかったのだ。
母に関することを全てシャットアウトしてたから。

優斗の名前を聞いても思い出しもしなかった。
彼はけっこう有名人だったこと。
今になって気付けばワイドショーで取り上げられるほどの話題人。

期待の新人イケメン脚本家としてよく名前を耳にしてたし、今になってピンとくる。


(どうして今まで気付けなかったんだろう…)

そして真由から渡された雑誌をペラペラめくるとどアップで優斗の顔が…、ドキリとして目を奪われる。

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