あなたと私と嘘と愛
「ちょっ…」
「だって亜香里に言ったってどうせキャンキャン騒ぐにきまってるでしょ?だったらもう面倒だから2人で決めた方が早いってことになったの」
クスリ笑った母に笑えない。
むしろ頬がピクピクとした。
「だったら二人で行けばいいじゃない」
「だ、か、ら、家族旅行なの、家族旅行。ね、優斗」
「ですね。そういうのは初めてだけど、俺もちょうど息抜きにもなるかなって思ったし」
ちょいちょいちょい、話を勝手に進めないでほしい。
そんな優斗にも驚きだ。かなり怪しい目付きで見てしまった。
なにこの夫婦…
人の気持ちも知らないで無邪気に笑い合っちゃって。
ちゃっかり嵌めてきたよ。
「で、でも、私が行ったら邪魔なんじゃない?」
「どうして?三人じゃないと意味ないじゃない。家族の絆を深めるいいチャンスだもの」
うふふ、とはにかむ母はもう決定だと言わんばかりに判決を言い渡した。
これが女優の力よと言わんばかりに予約した部屋も一番いい部屋だと言う。