あなたと私と嘘と愛
(でもいいの?本当にいいの?)
困惑したまま見つめていると、ついに優斗は痺れを切らしたように私の横を通り過ぎようとした。
「まぁ、亜香里がどうしても嫌なら止めないけどね。無理強いもしない。けど俺は帰らないよ。一人でも泊まるからゆっくり考えて」
そして最後にはもう決定だと言わんばかりにスタスタと歩いて行ってしまう。
しかも私のバッグを持ったまま…
だから私は慌てて追いかける破目になり、結局あれよあれよで優斗についてチェックインをしてしまった。
正直ゆっくり考える暇なんてなかった。
与えさせてもらえなかった。
だって優斗が待ったなしで行動を進めてしまうから。
そんな彼を見ながら思った。優斗ってけっこう強引なとこがあるんだなって。
意外な一面を見せられた私は内心ドキドキして落ち着かない。
以前とは確実に違う"好き"という感情を胸に秘めながら二人だけの空間に平常心でいられるだろうかと、不安を抱えながら優斗の後を付いていく。
せめて部屋は別でとってあるよね?なんて淡い期待もしたが、そんな願いは虚しく部屋は一部屋しか用意されていなかった。