あなたと私と嘘と愛

それからちびちびジュースを飲んでいると、若い二人組の男性が現れた。
けっこう酔ってるのか喋り声も大きく、やけにふらついた足取りだった。


「あったあった、先輩お酒ありましたよ」

「おお、これだこれ。4本づつ買って帰るぞ」


社員旅行だろうか?
とても陽気な様子で既に顔は赤く、どことなく距離を置きたくなる雰囲気だった。

こういう人に絡まれたら厄介そう…
だがそういう時に限って嫌な直感は当たるもの。素知らぬ顔して背を向けようとした瞬間バッチリ目が合ってしまった。


「お、こんな所に可愛い子ちゃん発見〜」


げっとなる。直感的に嫌な予感しかしない。
さっと目を反らしたのに、ニヤリといやらしい視線が突き刺さる。


「おねーちゃん一人?」


やっぱりきた。
話しかけられてビクついた。

なんか嫌だ。こういうのは無視に限ると冷静さを向けたのだけど、背後からガシッと肩を捕まれる。

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