あなたと私と嘘と愛
「俺の連れになにか?」
えっと体勢が崩れそうになった時、目の前の男達が素早く離されるのが分かった。
私はぐいっと体を引き寄せられて、誰かの腕の中に。守られる体勢になった瞬間頭上からとても冷たい声がした。
「あ…」
顔を上げるとそこには優斗がいて、目の前の男達に無表情の圧を向けている。
男達が一瞬怯むのが分かる。
「悪いけどこの子はあげないよ。持っていかれたら困る。犬や猫じゃないんだから勝手にその辺の人に声かけないでくれる?」
とても低い声だった。
いつもの穏やかな雰囲気とも違う。
優斗の冷やかな瞳が真っ直ぐ突き刺している。
「…いや、その、可愛いかったからつい」
「つい、で声掛けるほど君たちは女性に困ってなさそうに見えるけど?」
「いや、はは…」
狼狽えながら一歩下がる。
今までのおちゃらけた態度が一変してたどたどしい口ぶりだ。
確かに二人とも見た目イケメンに分類されるタイプだと思う。
優斗の言うとおり女性には困ってなさそうに見えるけど。
「な、なんならあなたも一緒に来ます?大勢でぱーっと集まるの大歓迎なんで」
「あほですか。すみませんがそういうノリは正直苦手なんで。それにせっかくの二人の旅行を邪魔されたくはないので遠慮します」