あなたと私と嘘と愛
さすがにここまで言われたら返す言葉を無くしてしまったのか、はたまた優斗の表情が怖かったのか、「す、すみませんでした!」と顔色を悪くした男達は案外あっさりと帰って行った。
酒は飲んでも飲まれるな。
まさにその言葉に納得した瞬間、「行くよ」と優斗が前を見たまま静かに歩き出した。
あっと思ったけど私も歩き出すしかなくて、少し強引にも見えるその行動にドキッと心臓が動き出す。
「あ、あの…」
「…なに?」
「あ、りがと。助けてくれて…」
まだトーンが硬い。
そんな雰囲気に耐えきれず本音がポロリ。
さっきから肩は引き寄せられたまま、私を離す気配を感じないから余計そわそわする。
だからもう大丈夫。平気だから離してもいいよと言ったのだけど何故かそれはスルー。むしろ嫌そうな顔を向けられた。
「いいから」
「え?」
あっさりと拒否。私はあわあわと思わず立ち止まり、そんな私の異変に気付いた優斗もそこでようやく足を止める。
「本当危なっかしいから見てられない。ひやひやするから部屋につくまで離さない」
は、離さないって…
今すごいこと言われた気がする。
ドッキーンと鼓動が跳び跳ねる。