あなたと私と嘘と愛
そんなやり取りを終えて喫茶店につくと、お目当ての桃パフェの味を堪能し、そのあまりの美味さにうっとりした。
「美味しい幸せ~」と連呼しながら顔を緩ませていると、正面から人の顔をじっと見抜くような視線が飛んでくる。
「亜香里ってさ、本当普通だよね?」
真由は何を思ったのか、しみじみとそんなことを言う。
失礼なほど見つめられたら流石の私もパフェを食べる手を止めるしかない。
「…普通って何?」
真由の不可思議な発言は今に始まったことじゃないから軽く聞き流しながらじろりと見返す。
「亜香里の好きな食べ物言ってみて」
「は?……桃、きゅうり、豆腐、納豆…」
「やっぱ普通だね」
「だから何よ」
「この前うちの煮魚も美味しいっておかわりしてたよね?」
「だって真由のお母さん料理上手いじゃない」
たまに水野家に泊まりに行かせてもらうが、その時に作ってくれる真由のお母さんの料理は絶品だ。
さすが喫茶店を経営してるだけあるけど、和洋中どれをとっても美味しくて優しいお味。
「私さ、今までお嬢様って庶民の味は好まないと思ってたの。毎日3つ星シェフの高級フルコースかと」
「なわけないでしょ。あんなの毎日食べてたらコレステロールヤバイことになるよ?それこそ肥満まっしぐら。ああいうのはね、たまに食べるから美味しいの。毎日なんてとても無理無理」