あなたと私と嘘と愛

(な、何で?)

さっきだって二人の旅行を邪魔されたくないと言って私を驚かした。
それはもちろんそういう意味じゃないことは分かってる。
けど心臓に悪い。悪すぎる。


「な、なんか優斗さっきから変…」

「なんかほっとけない。亜香里ももっと自分のことをちゃんと分かった方がいい」

「ちょ、ちょっと…」


確かにぼーとしてた私も悪いけど、何もそんなにムッとしなくても…
離さないと甘い言葉を吐きながら、怒ってくる優斗に動揺しっぱなし。


「君に万が一のことがあったら悠里さんに申し訳ないからね」


そしてズーンと落とされる。
ああ、そっちか。


「母に顔を合わせられないってこと?」

「それもそうだし、どうもハラハラする。正直思春期の娘を持つ父親の気持ちが今分かった気がするよ」


思春期って…

あくまでも父親目線だ。やっぱり今吐かれた言葉の数々に深い意味なんてない。
それが分かった瞬間、今までドッキンドッキンしてた気持ちがスーと通常運転に切り替わる。

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