あなたと私と嘘と愛
「大袈裟だよ。私はただジュースを飲んでただけなのに…」
そうなるとちょっと面白くない。
今度は私がムスッとなる番になり、優斗から無理やり離れようとした。
…が、
「だから無理」
「じゃあせめて手にしてよ」
再度引き寄せてくる優斗の手を取りさっと握りしめた。
えっと驚く優斗を無視してふんっと前を向く。
「肩は歩きずらいの。しょうがないから手なら我慢する」
赤くなる顔を見られたくなくて優斗からそっぽを向いた。
なんか悔しい。悲しい、モヤモヤする。
ので、そんな行動になりこの際開き直ってやった。
「そこまで過保護になるなら責任もってよね。ちゃんと保護してなさいよ。お、と、う、さ、ん」
初めて言った。お父さんなんて。
言ってて悲しくなったけど、なんかもうやけくそだ。
「優斗がこんなに過保護だとは思わなかった。私も分かった気がする。口うるさい父親を持つ思春期の娘の気持ちが」