あなたと私と嘘と愛

「大袈裟だよ。私はただジュースを飲んでただけなのに…」


そうなるとちょっと面白くない。
今度は私がムスッとなる番になり、優斗から無理やり離れようとした。

…が、


「だから無理」

「じゃあせめて手にしてよ」


再度引き寄せてくる優斗の手を取りさっと握りしめた。
えっと驚く優斗を無視してふんっと前を向く。


「肩は歩きずらいの。しょうがないから手なら我慢する」


赤くなる顔を見られたくなくて優斗からそっぽを向いた。
なんか悔しい。悲しい、モヤモヤする。
ので、そんな行動になりこの際開き直ってやった。


「そこまで過保護になるなら責任もってよね。ちゃんと保護してなさいよ。お、と、う、さ、ん」


初めて言った。お父さんなんて。
言ってて悲しくなったけど、なんかもうやけくそだ。


「優斗がこんなに過保護だとは思わなかった。私も分かった気がする。口うるさい父親を持つ思春期の娘の気持ちが」

< 261 / 471 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop