あなたと私と嘘と愛
「悪かったね、俺みたいな口煩いおっさんと一緒で」
お酒を置いた優斗が苦笑い。
「そうですよ。だから責任もって私を最後まで楽しませてよね。せっかくの親子水入らずの旅行なんでしょ?」
酔った勢いで辛口トーク。
相変わらず可愛くない。もっと素直で可愛らしい言葉の一つでも言えればいいのだけど、今更態度なんて変えれない。
いくら好きだと気付いたところで急にしおらしい態度なんてできないもん。
「なかなか手厳しいね。まぁでも、ご期待に添えるよう頑張るよ」
苦笑いから一変、クスリ笑った優斗が面白そうに見つめてきた。
だからさっとなるべく目を合わせないようにした。
だってもうこれ以上心臓をフル稼働なんてしたくない。
「ちょっとトイレ」
さりげなく席を立った。
酔ってるけど何故か完全に酔えない。
はぁ…と深い息を吐き、少し時間を置いてから優斗の元へ戻った。
するとさっきまでしなかった賑やかな音が…。障子を開けた途端耳の鼓膜の中に飛び込んでくる。