あなたと私と嘘と愛
ドキドキしながら返事をまった。
見つめ合ったまま静かな沈黙が続く。
だけど見開いてた優斗の瞳がすっと細められたとき、
「幸せだよ」と、静かな空間に溶け込むような落ち着いた声がした。
「え?」
「心配しなくても自分なりに楽しんでるから大丈夫。大安心してよ」
「でも…」
「なに?そんなに俺が可哀想に見える?」
戸惑いながらも小さく頷いた。
それを見た途端優斗がうっすら笑った。そして「正直だな」と呟いたあと、持っていたグラスをコトッとテーブルに置き私に向かって手招きをした。
こっちへこい、ということだろうか?
だからゆっくりとした足取りで優斗の座る座敷のちょっと離れたとこに行った。優斗の視線を感じながら躊躇いがちに腰を下ろす。
「亜香里」
すぐに呼ばれ顔を上げると、そこにはやっぱり穏やかな顔が。
「俺はけっこう今の生活に満足してるけど、亜香里にはそうは見えない?」
「…見え、ない…」
から聞いてるのに、優斗は冷静な顔して私の言葉を否定した。
なぜそんなに冷静でいられるの?と思ったが優斗が嘘を言ってるようにも見えない。