あなたと私と嘘と愛
「じゃあもし俺が幸せじゃないと言ったらどうする?」
そんなの決まってる。
「…迷わず離婚をオススメします。もっと他の人を探した方がいいよって」
「ぷっ」
また笑った優斗がくしゃりと顔を崩す。本当に可笑しそうに笑うからこっちはどう反応していいか分からない。
だって優斗は普通の家庭に憧れてるんじゃないの?
確か雑誌の対談でそんな内容が書かれてあった。
そして優斗が孤児だったことも。
あの時生い立ちの記事を見てビックリしたのは今も同じ。
彼は生まれてすぐに施設の前に捨てられてたらしいのだ。
だから両親の顔も知らない。兄弟身内もいない。
ずっと不可なく華やかな世界で生きてきたとばかり思っていた私は優斗がまさか、実は苦労して育ってきただなんて思いもしなかった。
むしろ私の方が苦労を知らない。
自由で甘えた生活をしてきたんじゃないかって思うから。