あなたと私と嘘と愛

そんな優斗への結婚願望はありますか?
どんな結婚をしたいですか?
の記事の返答にはこんなことが書かれてあった。

「あります。でも普通でいいですね。普通のあたたかい家庭をつくれたらそれで」

だから驚いた。
それには程遠いと思ったから。
どうみたって今の現状は普通ではない。

仕事で家庭を省みない母に、敵意むき出しの可愛いげのない娘。
これのどこが楽しいのだろう。
幸せだなんて私だったら口が裂けてもいえやしない。

「それが中身のない空っぽの家族でも?」

「中身はこれから作っていけばいいんじゃない?大事なのは今と未来でしょ」

「本気で言ってるの?」

「嘘でこんなこと言わないよ」

「また裏切られたとしても?」

え?と言葉を止めた優斗に本気の目を向ける。
私だってこんなこと言いたくない。
けど私は知ってる。嫌と言うほど見せられてきた。

「母はきっとまたあなたを傷つけるよ。約束だって平気で破る。嘘だってつくかもしれない。それでも本当にいいの?悲しい思いをするのは優斗だよ?」
< 270 / 471 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop