あなたと私と嘘と愛

母の気紛れ身勝手さでどれだけ私も振り回されてきたか。
よく分かるから苦しくなる。

次そこは、次こそはと期待して裏切られるのは本当に悲しいものだから。

「優斗はあの人に甘すぎだよ」

言いながら胸の奥が焼けるみたいにヒリヒリする。
そして違和感を感じた。
それは顔の上半分。何故か優斗の顔が膜が張ったようにぼやけて見えたとき、


「…亜香里?」


その正体にいち早く気付いた優斗の表情が驚きに変わる。
目を見開き私を見る。


「…どうし…」


何故か泣いていた。
私は瞳からポロポロと涙を流し、感情のネジが緩み始めてた。

だから慌てて下を向いたけど、優斗にはバッチリ見られてしまった。

(違う、なんで、こんな…)

まるで失恋したみたいに息苦しい。
優斗があの人を庇えば庇うほど母への思いが伝わるようで。
優斗が母を大事に思ってるのが分かり、やるせない思いが込み上げてくる。

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