あなたと私と嘘と愛

冷静な顔して幸せだなんて言ってほしくなかった。
だからつい本音が出た。

「あんな人やめちゃえばいいのに」

「…亜香里…」

「見てて思うの、優斗が勿体無いって。優斗だったらもっと…」

いい人に出会える。
間違っても私ならしない。
優斗に寂しい思いはさせない。
あんな悲しそうな顔なんてさせないのに…

「もっと自分を大事にしてくれる人と一緒にいた方がいいよ。幸せになれる人と」

うつ向いたまま鼻をズズッとすすった。
感情が止まらず、普段言えないことが次々に飛び出してくる。
もしかしたらけっこう酔ってるのかもしれない。

けど本当のことだ。
優斗の視線に絶えながらゆっくり顔を上げた。
すると心臓を撃ち抜かれるほど、真っ直ぐ見つめる真剣な顔が。

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