あなたと私と嘘と愛
だけどドックンドックン、鼓動が上がる。
当たり前に繋がれた手が熱い。どうして?と思うのに彼は何も言わない。
そこからじわりと熱くなる。
「せっかくの温泉だからね。入れるだけ入ったほうが特だよね。けどちょっとつかりすぎじゃない?顔赤いよ」
くすっと笑った優斗にさっきからまともな言葉が返せない。
いつからあそこにいたんだろう…
それに顔が赤いのはあなたのせいです。
なんて言えるはずもなく、連れられるまま彼の後について行くと、優斗が予期せず歩みを止めた。
「そうだ、これを」
優斗は何故か紙袋を持っていた。
そして再び私に向き合うとそれを思い出したように手渡してくる。
だから戸惑いながら受け取った。開けてもいいのかと不思議に思いながら中身を見ると、そこにはまたしても驚くものが。
「優斗、これ…」
その中には見たことのあるぬいぐるみがあった。
それはお土産売り場に売っていたものだ。うさぎなのか猫なのか、クマなのか分からないあのぶさ可愛いキャラクター。