あなたと私と嘘と愛
「けどこれだけは言わせて。俺は無理なんてしてない。むしろ楽しいって思う。今こうして亜香里と一緒にいられることが。月島の家族と一緒にいられて俺は嬉しいと思ってる。」
「………」
驚きすぎて優斗を見返すことしか出来なかった。
その瞳は嘘じゃない。
彼は本気でそう思ってる。そんな顔をしてた。
この場を取り繕うだとか、その場しのぎの嘘じゃないこともちゃんと伝わってくる誠実さ。
「こ、こんな可愛いげのない娘でも?」
「亜香里に会えて良かったと思ってるよ」
「……」
だからすぐだった。胸の奥から酷く熱いものが込み上げてくる。
せっかく落ち着きかけたのに、駄目だ、あっという間に涙が滲み出す。
「…こんな…不意打ち…」
「え?」
「…っ、本当変わってる、ね。…けど、ありがとう」
ホロリ泣き笑いを浮かべた。
そして私を纏ってた変な意地がバラバラと壊れ、落ちていく。
だってこんなに、
「…私も、ごめん。さっきは言い過ぎた」
好き。
優斗への気持ちを再確認する。
この人が好きだ、と。
想いがいつの間にか大きくなっている。
だから自然と素直になる。
優斗が月島家に居てくれるなら、私のできる範囲で彼を支えてあげたいと。