あなたと私と嘘と愛
「私も、優斗がいてくれて色々助かってる。いつも憎まれ口ばっかり言っちゃうけど本当は頼りにしてる。母がいつも迷惑かけてごめんなさい」
心からのお礼をした。
この時、もう母への嫉妬心は小さくなっていた。
例え結ばれない運命だって、こうして側に居てくれることが嬉しい。
私に会えて良かったと言ってくれた。
目の前で笑いかけて貰えるだけで今は胸がいっぱいになる。
「ふっ、亜香里ってもしかして泣き上戸?お酒飲むとけっこう涙もろくなるんだな」
そんな私を見て優斗は優しげに笑った。そして物珍しくまっすぐ見つめたあと、私に向かってそっと手を伸ばす。
「悪い、少し触れてもいい?触れるよ」
それからすぐ、返事を待たずに目元がヒヤッとした。
優斗の指先が瞳に溜まる涙をそっと拭ったのだ。
それを素直に受け入れる。
見つめ合いながら二人の空気が柔らかいものに変わっていく。
それは今までにない打ち解けた空気感。
たったこれだけのことなのに、私の気持ちをまるごと持っていかれそうになる。