あなたと私と嘘と愛
それにしても頭が痛い。
今度来るときは真由を連れてリフレッシュ目的で来ようと思っていた。
それなのにまさかこんなかたちで来ることになろうとは。
もうこんな立場で来たくはなかったのに…
「暫くはここに居てください。ここなら安全です。マスコミもこの場所は知らないし、追ってはこないと思うので」
「分かってる。騒ぎが落ち着くまでの間でしょ」
「すみません…」とわこちゃんが頭を下げる。これが初めてじゃないから色々と説明を受けなくてもいいのだけど、彼女は申し訳なさそうに事細かに説明をくれた。
何かあればすぐに彼女に連絡すること。そして必要な食料や日用品は随時こまめに母の事務所の人達が届けてくれること。
だから毎日生活するうえでは特に困ることはないと思うけど、気になることが一つ。
「悠里さんはここに来るんですか?」
私が発するより先に優斗が口にした。それは私も気になってたことだ。ふと横を見れば凄く真剣な横顔がある。
「一応その予定です。今の撮影が終わるのが明日なので、遅くても明後日の夜までにはここに一度顔を出す予定ですが」
「…そうですか。彼女は元気なんですか?」
「え?」
「昨夜から連絡してるけど一向に携帯が繋がらないので」