あなたと私と嘘と愛
その質問にわこちゃんの瞳が揺れ動いた。
「それについては社長から悠里さんに携帯の電源を切るようきつく言われてるのでそのせいかと。彼女の性格上お相手の方と平気で連絡をとってしまいそうなので」
「じゃあ優斗は?私達との連絡はどうすればいいの?」
思わず間に入り込んで疑問を投げた。
だって浮気相手への対処は分かるけれど、家族である私達にさえ連絡がとれなきゃ意味がない。何も分からないじゃない。
「わ、私はまだいいとして優斗はあの人の夫でしょ?」
「そうです、ね。亜香里さんのお気持ちは分かります。私も亜香里さんや優斗さんにはせめて私の携帯から連絡してくださいとお願いしたのですが、何故か悠里さんがその必要はないと言っていて…」
「は?」
必要はない?
恐縮するわこちゃん。私はなんで?と疑問の声を上げる。
「それはどういう…」
「すみません。私にもよく分かりません。けど悠里さんがあの二人なら大丈夫だって。撮影後に直接話すからそれで十分だと言ってまして」
それは私達を信頼したうえでの発言だろうか?
それともどうでもいいと見放したうえでの言葉なんだろうか?
母の胸のうちが分からず、あからさまに曇った表情になる。