あなたと私と嘘と愛
「なんで優斗はそんなんなの!?おかしいよ!澄ました顔しちゃってさっ、何でも分かってるような素振りでさっ、もっと現実を見なさいよ!」
「いや、別に現実逃避してるわけじゃ…」
「じゃあ何?顔には出さず平気なふりをしてるだけ!?」
言いながらグッと掴んだ服を握りしめる。
優斗が心底驚いた顔を向けたけど止められない。
顔がどんどん歪んでいく。
「お、俺はちゃんと傷ついてるし怒ってるよ」
「嘘つきっ」
「嘘じゃないってっ、俺だって俺なりにちゃんと考えてって、ちょ、亜香里苦し…」
顔を歪めた優斗が落ち着けと私の肩を叩く。
けど止められなくて…
「あの人は絶対に浮気してるっ」
「えっ」
「分かるの、ずっと見てたから、あの人の男遍歴をこの目でずっと見てたから!」
だから悔しい。
どうしてどうしてどうしてと、いつもそればかり。
「お願い優斗、悪いことは言わないからあの人と別れて!離婚して!!」
怒りが涙へと変わっていく。