あなたと私と嘘と愛

ポタリポタリと水滴が落ちる。
それが優斗の瞳に写った時、当たり前だけど驚いた顔に変わる。


「…優斗が可哀想っ…」


掴んでた胸ぐらを離した。そのまま今度、衝動的に目の前の優斗を抱き締めた。

「優斗がもったいないよっ」

「……え?」

「もっと自分を大切にして」

気付いたらそうしてた。
苦しい悲しい寂しい。
力いっぱい抱きつき本音をぶつけると、好きという衝動が沸き上がる。
そして守ってあげたいと。

「もう苦しまないでっ、優斗は幸せにならなきゃダメだよ。自分のこともちゃんと考えて」

私が好きになった人は予想以上にいい人だった。今まで見てきた大人の中で一番誠実で優しい人。
だから幸せになってほしい。
それが例え私と優斗の今の関係を失くすことになったとしても私はそう願う。
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