あなたと私と嘘と愛

けどそれがこんなにも苦しいなんて…
優斗が私の前からいなくなるのを想像すると切なくて余計涙が溢れ出す。

「優斗にはもっと他にいい人がいるはずだよ」

これは前にも言ったことだ。

ぽろぽろ泣き出す私に優斗の動きが止まる。
私はそれをいいことに優斗にしがみつきながら子供みたいに涙を流すことしかできない。
呆られたかもしれない。
面倒だなって、いちいち口煩い女だって思われたかもしれない。
それでも今更この状況を変えることもできず感情を止められずにいると、突然私の背中に優斗の右腕が優しく回る。

「なんで亜香里が泣くんだよ」

低音の静かな声だった。

「こんな風に泣くとか、反則。正直困惑してる。なのに」

気付くと私は優斗に抱き締められている。
今の私をそっと受け入れてくれるかのように。

「心地いい。気持ちいいな。俺の為に泣いてくれるとか」

声に熱がこもってる。
私は驚いてうずくまったまま瞳を大きく開ける。