あなたと私と嘘と愛

そして私の頬に優斗の手が触れた。
何が起きてるの?その予期せぬ行動に息を飲む、が、優斗の真剣な瞳に微動だにできない。

「そんなことはさせない」

「…ゆ…と?」

熱く痺れる声だった。
優斗の指先が瞳に溜まった涙をそっとぬぐう。その触れかたが何故か甘く感じ、
まるで空気が違う。
今まで保っていた二人の間の空気感とは明らかに違うものが流れてるのに気付き、顔が硬直する。

「亜香里を一人にはさせないよ」

「ゆう…」

「亜香里は俺が守る」

目を見開き固まった。

今なんて…
力強い声だった。

「亜香里が一人で泣かないよう俺が側にいる」

するすると優斗の手のひらが私の後頭部に回った。まるでもう泣くなとも言われてるかのようにくしゃくしゃと撫でられる。
その手に力が込められるとすぐ、優斗の整った顔が近付いてくる。

そこからさらにスローモーションのように見えた。
その距離が5センチ、3センチと近付き鼻を掠め優斗が顔を傾けた時、ピンポーンと、家のチャイムが鳴った。
 
「……」

はっとして我に返る。慌てた私は咄嗟に優斗の肩を押し返す。

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